さくらんぼ誘引は何の為?
皆さんは、さくらんぼが木になっているところを見たことはありますか?
だいたい大きくても5mくらいの高さに統一されていると思います。
これは、自然な形ではなく、人工的なものです。農家の方は、なぜそのようにするのでしょう?
物事には理由があります。
今日は、さくらんぼの木の育て方についてお伝えします。
さくらんぼの誘引とは?
さくらんぼを自然のままにすると、約8~10mほどの高木になります。昔は高いところまで、梯子をかけて収穫していました。
最近のさくらんぼ農家では、木を横広に人為的に育て栽培する方法を取っています。
これを木の誘引と言います。
具体的には、木の枝を地面にロープで水平なるように固定します。この様に木を誘引するには、理由があります。
目的は、枝に出来るだけ多くの花芽を早くつけるため。
では、この目的がどうして誘引で果たされるのでしょう?
さくらんぼの誘引は何の為?
植物の生長に重要な働きを持つ「オーキシン」や「サイトカイニン」が関係しています。
勢いよく伸びる枝の先端では、植物ホルモンの「オーキシン」がたくさん作られています。
そのオーキシンが、枝の元の方にまで移動してくると、枝の芽の発達、分化を抑え、枝の成長を促すようになります。
ところが、枝を誘引すると、枝の先端が伸びにくくなり、その先端で作られるオーキシンも少なくなるため、抑制効果が少なくなります。
抑制効果が少なくなったので、根元の方まで芽が発達して、花芽が出やすくなります。
また、芽の発達を促す働きを持つ植物ホルモン「サイトカイニン」は、根で作られ、養分と一緒にどんどん上へ送られます。
これが枝を誘引することにより、今まで通過していた花芽の部分へも行き渡るようになり、芽の発達が促され、花芽が増えると考えられています。
分かり易く言うと、自分の成長を優先させる木の枝を、下に引っ張ると、異変を感じ、子孫を残そうと、花芽をたくさんつけるようになるということです!
昔の方の知恵は、今や科学的にも立証されてきています。
昔の人は、一つ一つ検証しながら、失敗と試行錯誤を繰り返し、今の栽培方法に辿りつきました。
本当に、その努力と研究心には脱帽ですね。
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